アメリカ横断 〜ふりだし〜
二日目。続き
その日に稼いだお金と師匠からもらったお金は合計で10ドルほど
2ドルはパンとバナナに使っているため残りは8ドル
8ドルでものすごく気持ちも行動もきっと少し大胆になっている
けどもその8ドルを僕は履いている靴下にしまった
盗られないようにね。
まだ夕方で日も落ちていない
まだ次の街を目指そう
ヒッチハイクを始めたんだ
ホワイトボードに次の目的地のヘンダーソンと書き路上でとにかく目立とうとした
そうするとまたも現地のアメリカ人が声をかけてきた
身長は175ぐらいだろうか?黒人の方だったんだ
「何しているの?」
いつもと同じ調子で説明した。横断の話を
そうすると175は笑っていたすごく
「クレイジー」と聞き取れた
そうすると175は笑うのをやめて連れてってやると言ってくれている
ただ条件があった
お金があればヘンダーソンよりさらに行ったキングマンにまで行ってやると
僕はまたテンションが上がった。けど8ドルしかない
けど8ドルを見せてみると
「オッケーオッケー」
十分だと言わんばかりの笑顔で僕にグーサインをしたんだ
それでお金を渡して交渉成立
車を取ってくるから5分だけ待っていてくれって
その間ラスベガスを噛み締めて待っている
が
一向に車は現れない
すぐに勘付くよね
むしろ今思うと当たり前だよねと
175は8ドルを持ってラスベガスの街へ消えて行ったんだ
ものすごく悲しかった
師匠の思いも何となく裏切った気がしてものすごく悲しかったんだ
8ドルの勉強会だった
もう同じ過ちはしないと夜のラスベガスの端っこでパンとバナナを噛み締めたよ
残金は最初と一緒の0円
お金はふりだしへ戻ってしまったけどすでに2日前の自分より前進しているね
いつもよりバナナの咀嚼回数が多い、そんな夜でした